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遊牧民の物語が素敵な乙嫁語りという漫画

漫画

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

遊牧民の物語が素敵な乙嫁語りという漫画

中央ユーラシアに暮らす、遊牧民と定住民の昼と夜。
美貌の娘・アミル(20歳)が嫁いだ相手は、若干12歳の少年・カルルク。遊牧民と定住民、8歳の年の差を越えて、ふたりは結ばれるのか……? 『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語!

(Amazonの商品紹介文より)

コーカサス地方というシルクロード、草原の道があった場所ですね。
コーカサス伝統の刺繍、彫刻、服装、慣習、食事などが細かく描かれていて、そういった部分も楽しめる漫画になっています。特にこのコーカサスのあたりはトルコなどと同じようにイスラム系の人々が住んでいます。刺繍や建物の柱の彫刻による装飾なども細かく描かれていますが、トルコの絨毯などを思い浮かべるようなデザインが多く見られます。食べ物も細かく見ていると、ペリメニ(水餃子)、シシカバブーのような串焼き、ケバブ(ピタと呼ばれるパンで挟んだ肉)のようなものが出てきたりしています。
見ていてこれは何だろうと思い、ウィキペディアなどで調べるのも面白いです。
異国の雰囲気を十分に感じる事が出来る漫画になっています。

 

物語の舞台であるコーカサス地方遊牧民族の社会は、
伝統的な部族社会であり、家長制の男性優位の社会になっています。
家長、そして族長の人格や聡明さによって、一族の幸運や命運が左右されるようです。
村の雰囲気や家庭内の雰囲気も長の人格しだいと言う事なのかもしれません。
主人公の村とは異なり嫌な雰囲気、感じのする村もちょくちょく出てきます。
主人公とともに一時生活していたイギリス人のスミスという男がいますが、
家長の意見や伝統を当然のものとして、基準として疑いも無く判断する様子に、イギリス人の民俗学の研究者のスミスが少し呆気に取られるような描写も描かれていました。
19世紀後半ではありますが、近代的な家族的価値観を持ったイギリス人のスミスは、どちらかと言えば、圧倒的に読者側の価値観に近く、そうした読者側から見た感覚や好奇心を代弁する存在と言った感じがします。
幸いにも主人公の一族の族長、そして一家の長である父親は暖かな人柄で、おろかな決断や女性に対しての高圧的な態度などは全く描かれていません。
(スマジという一族は女性の扱いが酷いという発言が出てきた。)
良くも悪くもそうした血族内での結びつきが強く、主人公の家庭では幸い、そのおかげもあり暖かな雰囲気が流れているようです。
そうした部族社会のしきたりや慣習といったものについても、作中では色々と出てきたりします。少しドキュメンタリータッチな楽しみ方もあるかもしれません。
作中に出てくる結婚式の習慣や宗教的儀式などは、世界不思議発見などのテレビ番組や世界史関連の本が好きな方なら楽しめると思います。

物語の設定は19世紀後半という戦端が開かれる前の時代であり、コーカサスの北にはロシア、西側はイギリスの影響力がある土地であり、その影響からやむなく争いに巻き込まれる描写もあります。
しかし、基本的に戦いなどを描く描写はほとんどありません。
あくまで土地の人と関わり、文化と関わり、またその土地土地の人々の生活や物語を覗くというスタンスになっています。基本的には盛りあがりなどを期待する漫画ではなく、のんびりとのほほんとした雰囲気を楽しむ漫画です。そうでは無いときもたまにはありますけどね。

後は、主人公の妻のアミルがすごく素直で天然なのが魅力的で、こういうのがコミュ強っていうんだろうなって感じなんですよね。自然と味方が増えるみたいな感じでしょうかね。素直さ、真っ直ぐさが気持ちよいです。

乙嫁語り 1巻<乙嫁語り> (ビームコミックス(ハルタ))

乙嫁語り 1巻<乙嫁語り> (ビームコミックス(ハルタ))

 

興味があれば読んでみてください。