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絶望や苦難を乗り越えて前へ進む事を教えてくれるヴィンランド・サガという漫画が凄い

漫画

ヴィンランド・サガ(1)

絶望や苦難を乗り越えて前へ進む事を教えてくれるヴィンランド・サガ

千年期の終わり頃、あらゆる地に現れ暴虐の限りを尽くした最強の民族、ヴァイキング。そのなかにあってなお、最強と謳われた伝説の戦士が息子をひとり授かった。トルフィンと名づけられた彼は、幼くして戦場を生き場所とし、血煙の彼方に幻の大陸“ヴィンランド”を目指す!! 『プラネテス』の幸村誠が描く最強民族(ヴァイキング)叙事詩、堂々登場!

上記はAmazonの第1巻の紹介文です。

個人的感想としては、

闇から光へと変わっていく主人公の内面の変化が心地良いですね。
絶望や怒り、悲しみ、憎しみ、屈辱、巨大な喪失感、およそ人生上でありそうなほとんど全てのマイナスの感情や体験を持つ主人公のトルフィン。その向き合うにはあまりのも大きい喪失感と罪悪感にトルフィンが不器用に向き合い、これからどうして行くべきなのかを学び見出していく。何度と無く悩んだり仲間に助けられたりして、人間として繰り返し行われる再生が素晴らしく描かれている漫画です。

いやもしかしたら、本来の自分を取り戻しただけなのかもしれない。
元々、幼き頃のトルフィンは無邪気な少年で善人だった。戦乱の多い中世ヨーロッパにあっては、そんな少年が憎しみに捕らわれてしまうのもある意味、仕方ないのかもしれない。そんな時代背景もちゃんと考えて作りこまれた、しっかりとした作品です。
人間性や人間のあり方などにも焦点が当てられた興味深い漫画なのです。

ただのバトル漫画ではない奥深さ

不器用すぎる主人公の魅力

作中で殺しを生業とする傭兵の流儀に染まりきり、思考もそんな屈折したものになってしまっていると思えば、ある時には、完全に今までそう思っていたものが崩れ去る。
そして、全く違った性質を持った同じ人間とは思えない主人公へと変わっていく。でも、キャラやストーリーがぶれているとかそんな事は全く感じさせない作者のストーリーを組み立てる力がすごい。いつでも極端な方向にしか進めない主人公の不器用さがとても魅力的なんです。不器用だからこそ全力で進んで、ぶっ壊れてそしてまた歩き出すんです。

人としての幸せや人間とは何かを考えさせられる

相手から奪う人生であった主人公が、与える側の人間になろうとしている。
誰かから奪う者は奪われる、攻撃する者は攻撃される、そんな世界に幸福は無い。
誰かに与えて、育てて、そんな世界こそが幸せな理想的世界だという気づき。
人間の闇を見続けてきた主人公だからこそ、深い気づきを得たのかもしれない。

大切な仲間との出会い(これが無かったなら・・)
主人公は大変な人生を歩んできたが、出会いは本当に主人公の宝だと思うんです。
特におそらく生涯の親友になるだろう男との出会いが非常に大きいでしょう。
奴隷制度のある中世ヨーロッパという暗い時代においても、良き人間性を持った人々にところどころ出会って助けられているのが主人公の幸運だと思います。
人は人との出会いや関わりにおいて変わっていく、良き人に出会うことは重要で幸運な事だと言うのは、今の時代においてもそうだなと思うんです。

仲間も人として成長していく魅力
主人公だけではなく主人公の仲間も人間として成長していきます。
主人公の迷いが吹っ切れたり、決意したりするだけではなく、関わりのある人々も、主人公との関わりの中で暗澹たる思いを打ち消すことが出来たり、憎しみを乗り越えたりして成長していくのです。主人公とともに成長していく人々の様子は見ていて清清しささえ感じます。

歴史的背景も想像しながら読むと面白い
ヴィンランドはかつて存在した地名の名前なんです。
ヴァイキングという主人公の出自も面白いです。中世ヨーロッパでは略奪を繰り返した悪名高きヴァイキング。アイスランドグリーンランドなんていう世界史ではマイナーな部分が出てくるのも面白いですね。また時代背景からキリスト教的価値観がよく出てきて、人間や社会の現状と対比される場面もちょくちょくと出てきます。

しかし、バトル漫画としても面白い

普通ではない奴らの戦い
その他大勢の雑兵とメインキャラの力の差がすごい!
兵と兵の多数同士の戦いではあるが、用兵術を用いて戦術的に戦うという描写はほとんど無く、圧倒的な個人的武力で戦う漫画ですね。そういう意味では、バトル漫画らしい漫画と言えますね。以前、紹介した「ヒストリエ」とは対照的かもしれません。

mousoutiku.hatenablog.com

主人公としては珍しい武器の選択
主人公としては派手さにいまいち欠けると思える短剣を駆使して戦うという設定がおもしろいですね。しかも、小柄な体型というのも珍しいかもしれませんね。

スピード感のある戦闘シーンの描写
パワー系のキャラも出てくるのですが、スピード感のある戦闘シーンのほうが好きですね。主人公が両刀の短剣使いで小柄ということもあり、スピード感のある戦闘シーンが魅力的です。

画力も高いので安心して楽しめる
あくまで個人的な意見なのですが、画力の無いバトル漫画ほど興ざめするものはない、と考えています。その点、この漫画は画力も高いですし、安心して漫画を楽しむ事が出来ます。

まとめ

漫画は現在16巻まで発売されています。漫画の初期と現在とでは、ある意味同じ漫画かと思うように激しく変化していますが、それは伏線なんですね。そして、それをチグハグに感じさせない作者の力量がすごい!ぜひ、興味がある方は読んでみてください。